![]() 書かれる文章、作られるサウンドに明快な個性があり、その長岡ワールドは誰にも真似のできないものでした。キーワードを列挙してみますと、 ・音を論じて音楽は論じない ・音は音離れ(トランジェント)を最も重視する ・そのために多少の歪み感には目をつぶってフルレンジを使う ・エンクロジャーは後面開放のバックロードホーン、共鳴管を使う ・シンプル・イズ・ベストでネットワークはハイパス・コンデンサーのみ ・オーディオは音量である ・アンプは重量である ・CP(コスト・パフォーマンス)を重視する などなど。 そのほか、人柄としては「誰に対しても平等に接する」というのがありました。長岡さんが晩年雑誌の企画で来阪されたことがありました。私はそのおり某マニア宅で、長岡さんの謦咳に接する機会がありました。驚くほど小柄な人で、文章の勢いとはうらはらにしわがれた声でした。呼吸器系の病気がある様子で、文章の呼吸は深いのに、ご本人の実際の呼吸は大変浅かったのは意外でした。ただ先生然としたところは全くなく、文章通りの方でした。 さて、私はD-7MkII、D-55と十数年にわたり、長岡さんの設計した20cmフルレンジ用のバックロード・ホーンを使っていました。低音の音離れは良かったのですが、中高音の粗さ・大ざっぱさに限界を感じていたのも事実です。そもそも我が家では大音量で鳴らすことなどありえないのが実情で、バックロード・ホーンが真価を発揮しているとは言い難い状態でした。 そんな折にあるマニア宅でソナス・ファーベルのミニマを聴く機会があり、小音量でありながら、その精緻な音に魅了されてしまいました。以降は自作は8cm〜10cmの小口径フルレンジばかり使ってきましたが、やはりメーカー製には完成度で及ばず、長岡さんの死去と相前後して、宗旨替えし、現在はメーカー製を使用しています。 しかし、メーカー製を使っても長岡ワールドとは訣別できず、8cmフルレンジも常に音を出せる状態にしてあります。 長岡さんは文章が素晴らしく、モノ書きとして超一流だったと思います。日々ブログを書いていて、改めて長岡さんの凄さに思いを新たにする昨今です。私も最近ようやく本を出しましたが、長岡さんの文章がよいお手本でした。 オーケストラ録音を聴く(バックナンバー)
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